僕はコンテンツとコミュニケーションとの位置関係って、「コンテンツでもってコミュニケーションを凌駕してやる」っていうくらい傲慢な考え方だったんだけども、最近はコミュニケーションのほうが上だなって思うようになった。
たとえば若い頃すごく可愛い女の子から夜お誘いがあったとして。だけどその日がすっごい面白いゲームの発売日だったりしてね。昔だったら「いや俺は今日帰ってやるゲームがあるんだ」って家に帰るからコンテンツの勝ちかなと思うけど、今はコンテンツに行かないで、とりあえず今日は誘いに乗る。その後まだ余力があったらゲームしようかなって思うわけ。それが正直なところで、そういうところで時代はコミュニケーションが上に来ているなと。
何がこの優先順位を変えてきたのかって言うと、携帯電話かなあって思ってる。例えば、携帯電話のおかげで絶滅してしまったものは何だっていうと、家出娘。
——家出娘ですか。
もう家出娘は絶滅したと思う。娘とは家にいなくても携帯電話で繋がるから、親は家出したと思わなくなってる。そうすると捜索願も出さない。
あと携帯電話のおかげでアリバイ工作もやる必要が無くなった。面白いのがスキーが廃れたこと。なぜかっていうと、スキーに行くって泊まり前提だよね。だからスキーは女の子と二人きりになる口実になった。女の子も親に言うときに「友達とスキー行く」って言い訳ができる。
だからスキーは流行ってたんだけど、今、そんな手間掛けなくてもいいんだよ。
——ケータイに電話すればつながっちゃうからですか。なるほど。
彼氏の家行ってても何してても電話が繋がるから、娘は適当に言い訳して帰ればいい。
——親が心配するのって誘拐されてないかとか、事件に巻き込まれてないかとか、そういうことですよね。
親はそこで安心が欲しいんだよね。だから電話して言い訳が聞きたいと。
彼氏といると怒られるなら娘は取り繕えばいいだけで、どこの親だって、娘がどっかで何かやってるって言うことは基本的にオッケーなわけ。それを否定するやつはいないと思う。